日本はスウェーデンになるべきか

日本はスウェーデンになるべきか (PHP新書)

日本はスウェーデンになるべきか (PHP新書)

スウェーデン相続税贈与税、資産税が廃止されたそうだ。

最低年金制度はあるが、基本、年金は払っただけ、つまり、富裕な人のほうが支給額が多いとか、そんなものなのか。

他国がこの制度で回していけているのか知ることは、日本の制度が相対化されて面白かった。

日本のように高齢者の入院の長期化、医療費の増大などの問題が深刻化していて、その改革「エーデル革命」が行われたのが1992年、年金改革は1991年(1984年から検討準備)、とか、相続税贈与税の廃止は2004年といずれの制度も新しい。

常に改革し続ける国の面目躍如である。

逆に言うと、なぜかこの本では改革途中のはずの現在の制度の欠点が大きく取り上げられていないのが少し不満だが。


労働コストとは、労働者に支払わられる賃金に、所得税社会保険料を足したもので、2008年のドル表示購買力評価で、単身子供なしの労働者一人あたりのコストを比較すると、OECD30か国中スウェーデンと日本はそれぞれ11位と12位と、ほぼ同等である。

スウェーデンの特徴は、企業が負担する社会保険料が多いことであり、社会保険料は労働コスト全体の24.5%を占める。

スウェーデン企業は、高額な社会保険料を国に治めることと引き換えに、従業員の退職後の生活保障、疾病、の失業(失業手当は最大2年以上給付)という三大リスクをすべて外部化し、公的セクターに委ねている。

また、スウェーデンでは企業が退職金、扶養手当や通勤手当を支払う習慣はない。

日本企業の場合は、企業が負担する社会保険料が労働コスト全体に占める割合は11.6%とスウェーデンの半分以下である。

その代り、巨額の退職金の支払い債務、家庭の医療保険料を負担する。

要するに、日本とスウェーデンの労働コストはトータルの額としてはほぼ同じだが、企業と従業員の関係をどうとらえるかという思想が異なる。


また、働きためるインセンティブとして、働けば働くほど年金額が上がる。そして、30歳から60歳までの就労者で、不幸にして病気、けが等の理由により能力が少なくとも1年以上かつ25%以上減少した人は、病気やけがをする以前の3年間の年間所得の平均を仮定将来所得と認め、これをもとにして一定の計算様式により病気保証を受給している。

つまり、大病やけがをして、以前の半分しか仕事ができなくなったとしても、そのまま働き続ければ、以前の所得93%が年金対象所得として認められ、老後の生活が保障される。

19歳から29歳の就労者で、病気けがなどで能力が減少した人に大した人も同様の補償がある。

おお、おれっちいつ病気が再発するか分からないのだが、こういう制度なら安心できる。というか、障碍者でも働ける場所の確保がされるって素晴らしい。


その他、若者の失業率は25%と、日本の9%と比べても高いのが悩みの種とか、スウェーデンのことがもっと知りたくなる本であった。

確か明石書店の本がアパートのどこかに転がっていた気がするのだが、さて。