日本を滅ぼす〈世間の良識〉

日本を滅ぼす〈世間の良識〉 (講談社現代新書)

日本を滅ぼす〈世間の良識〉 (講談社現代新書)

八百屋のおっさんがやれば「犯罪」、公務員や大企業の職員が同じことをやれば「不祥事」

著者が日本に対して文句があるのは百も承知で、問題はどれだけエッジが効いているか。

予想以上にその視点はなかったと脱帽した。


2010年度の国債発行額は40兆円を超すというのはウソである。一般会計のみの数字。税収の不足分を埋めるために、2009年度の発行総額は、158兆円。

国債も1978年の10年物は額面100円が72円台まで暴落したこともあった。

2010年度3月末の国と地方自治体の借金は合わせて約1002兆円で、国民の純貯蓄(貯蓄からローンを引いた数字は1079兆円。差額77兆円。国民の貯蓄で国債を消化するわけにはいかなくなった。

発行した国債が売れなくなる?

経済を勉強した人には穴が分かるかもしれないが、シロートは思わず真に受けてびっくらこいた。


自殺者3万人は1998年から変動がなくなる。

それまでは景気の動向に対し変動していたのにもかかわらず。

なぜだ。

警察は一般的に理解される「変死体」を3種類に分類する。

1「犯罪死体」:その死亡は、犯罪が原因であることが明らかな死体

2「変死体」:その死亡は、犯罪が原因であることが疑いがある死体

3「非犯罪死体」:その死亡は、犯罪が原因でないことが明らかな死体

警察は2のみ変死体と呼ぶ。

2008年の警察取扱死体数の内約は、犯罪死体984体、変死体1万5038体、非犯罪死体14万5816体で、ちなみに1998年は警察取扱死体は9万体台だったのに、2008年には16万体で、非犯罪死体のみ2倍弱で増加し、自殺者の数は動かない。

ここで医師の話として、死因不明の死体を司法解剖する予算もないので、非犯罪死体と警察に誘導される。

自殺者、犯罪に巻き込まれた死体も非犯罪死体に含まれているのだろうと。

自殺者3万人の欺瞞は噂として耳に入れていたが、非犯罪死体のみが2倍弱に増えた話は初耳であった。

よく調べたな。


その他、クスリをやったことのない報道記者は好奇心の欠如が問題とか、あまり聞いたことのない意見は面白かった。

知識を得る系統の新書としては、当たりだった。