ぼくらの資本論
- 作者: 橋本治
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 1998/09
- メディア: 文庫
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バブル後の金と土地、相続、家の問題を鎌倉時代、平安時代、大化の改新にまでさかのぼり読み解いていく。
相続税の悲劇は「今まで親に甘えてたやつの悲劇」と喝破する。
戦前は家はひとりの家長から次の家長へ相続されるもので、次男以下の男の子には何も残されない。
家は戸籍の基本的な単位と考えてしまうが、そもそも今は結婚すると親の戸籍とは分けられて、新しい夫婦だけの戸籍が作られることになっている。
戸籍の単位は夫婦か個人で、結婚したらその子供たちはもう親の家から独立した”別の家”をつくるのが現在の制度の在り方である。
家という制度がなくなっちゃっている。
ここで、戦国時代から明治になるまで女は姓を持たない。だが、室町時代や鎌倉時代にはあった。なんと夫婦別姓で(源頼朝の妻は北条政子)
鎌倉時代には娘を含むすべての子供に土地の相続権があった。
鎌倉時代には家をしばる上位のもの「一族」があった。
北条政子は[北条家の一族]で源頼朝は「源の一族」で、同じ一族ではないことを示すために夫婦別姓なのである。
政子の息子は源姓で、息子を見殺しにしたと言われるが、政子とは一族が違う、とか、
鎌倉時代の前は、土地は原則として国有で、その原則が生きたままくずれて、開墾した土地を自分のものにした武士がいて、武士たちは名義上の所有者である港の有力貴族に対して、名義料を払うのが嫌になっていた。
鎌倉時代は自分らの土地に勝手な権利を主張する大昔の常識を排除すること、今まで京都の植民地でしかなかった関東が独立を宣言して、そこに出来上がった政府、とか。
そんでもって、また、自分の領地を持っている領主を領主貴族、持たない国から与えられる特権的な身分による貴族が「官僚貴族」で、日本の律令国家は土地の私有を認めないっ国家であったため、日本の貴族はすべて官僚貴族である。
戦国時代の大名のみ領主貴族で、どうして日本の過去の権力者たちが「天皇を倒して新しい国王になる」という発想をしなかったかというと、彼らがすべて「官僚貴族」で、自分の土地という自分を支える基盤を持たなかったからである。
ここまでの要約で1時間30分、力尽きました。
分かりにくいのはここそこで橋本がフォロー入れているのを削ったからで、チョ〜面白かったのである。