アメリカ下層教育現場

生きるためには、学業どころではない。

明日の朝食のパンを買うには、今、働かねばならい。

著者の真剣に生きる様が心を打つ。

さりげに、アメリカのチャータースクールは公立スクールよりレベルが低いという情報があり、著者は教育免許も持っていないが、チャータースクールの高校で、日本文化を教えることになる。

そこの第一日目は退出するもの、ウノをするもの、MP3プレーヤーを聞き出す者、学級崩壊を起こしていた。

なんとか、なるんかいっであるが、結構著者は機転を利かせてまとめてしまう。

いや、でも、その授業は自分も受けてみたいし。

相撲についてはともかく、干支で丙午を教えたり、国歌で校長の自殺者を出したこと、ちょっと難しいけど真珠湾えひめ丸(学生は誰も知らないけど)、漫画の吹き出しにセリフを入れさせたり、そして、1期で雇止めになることは決まってからは、最低クラスの著者の出身校でクラスメートで殺人者を出したこと。その交流から出した結論とは。

著者は高校から頑張って三流大学を卒業したが、ブラック企業にしか就職できなかったこと、アメリカでフリーライターをするが、やっぱりまともな対応はされず、アメリカでも人種差別があること、でも、めげないのがすげぇ。

アメリカの貧困街からボクサーとしてなりあがった人にインタビューしたり、そちらのほうで本をまとめたり、でも、一生懸命、生徒とコミュニケーションを取ろうとして、切り捨てたり、大人のバランス感覚がまぶしい。

生徒は高校を卒業するのも難しい、卒業してもまともな職にはありつけない。

でもセカンドチャンスを与えられたら、と思う。

まとまったクラスを作ったのに高校を首になっても、ボランティアとして、学生の話し相手をする組織に所属してみたり。

なんかまぶしい生きざまである。

借りた本だけど、応援代としてほかの著作と合わせて購入したい。

この本の最後はマリファナをやっていたが、立ち直りかけで、結局退学。音信不通になっていたが、でも復学して頑張っていた生徒との再会で終わる。


アメリカ下層教育現場 (光文社新書)

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マイノリティーの拳

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