近代出版文化を切り開いた出版王国の光と影―博文館興亡60年―
不況時でも手軽に楽しめるのが読書であり、その読書を1円という値段で不況にぶつけたのである。
県内一の規模の本屋で題名が気になり手を取る。
2007年出版で一刷。しかし、中身はデータたっぷりで面白かった。
本屋の隠れ一押しかな。
博文館とは、明治に設立されたかつては日本一の出版会社。
日露戦争に関する雑誌二誌で1千万部を超える売上を上げ、田山花袋が日露戦争で書いた記事の送り先が博文館。
樋口一葉を助けた会社でもある。共同印刷や東京堂はこの会社のコンツェルンだった。
プロ野球のオーナーになったこともある。
民間で一番の規模の図書館を設立した。
創立者は徳富蘇峰が感服し、死に際しては与謝野鉄幹や晶子から歌を寄せられている。
二代目は金色夜叉のモデルにもなっている。
これは不名誉だけど、大実業家であった。
付箋をはっつけていたら15箇所になった。
盛り上がって落ちるまでの60年が劇的であった。
ちなみに
浅見ケイサイ(漢字ムズイ)の「靖献遺言講義」が古くから知れわたっていた、とあって、山本七平や小室直樹の追っかけとしては興味深い。
- 作者: 田村哲三
- 出版社/メーカー: 法学書院
- 発売日: 2007/11
- メディア: 単行本
- 購入: 1人 クリック: 3回
- この商品を含むブログ (3件) を見る