ダイアローグ(ロバート・マッキー)
(追記あり)
ダイアローグ 小説・演劇・映画・テレビドラマで効果的な会話を生みだす方法
- 作者: ロバート・マッキー,越前敏弥
- 出版社/メーカー: フィルムアート社
- 発売日: 2017/10/25
- メディア: 単行本
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1 欲求。登場人物が人生の均衡を崩すと(契機事件)、それに対する反応として、人生の均衡(欲求の対象)を取り戻すために何をしなくてはいけないかを考え付く(少なくとも想像する)。
欲求の対象を手に入れたい(究極課題)という絶対の目標は、それを積極的に追い求める(言動の中核)きっかけとなる。
登場人物はストーリーの中核に合わせて行動するので、それぞれの瞬間に(シーン)必要なことに取り組み(シーンの課題)、欲求の対象に向かって前進する。
シーンの課題として根底にある願望は、登場人物が選んでおこなうすべてのアクションに影響を及ぼす。
一方、潜在的な欲求は、登場人物ができないことやしないことに影響を及ぼすので、逆に選択の幅を狭める。p244
登場人物の目標達成を妨げる敵対する力は4つ
1物理的葛藤。時間、空間、人間の造った世界、ありのままの宇宙などによる、あまりに大きな力。(略)
2社会的葛藤。組織やそれを管理する人々の強力な力。(略)
3個人的葛藤。友人、家族、恋人など、近しい人々との厄介な関係。信仰の問題から離婚や些細な金銭トラブルまで、多岐にわたる。
4内的葛藤。ひとりの人物の思考、身体、感情にまつわる苦悩や矛盾。もし記憶力が衰えたら、感情が良識を打ち負かしたらどうなるのか。p237
芝居がかった人物でも滑稽な人物でも、欲望の対象を求めるのはまったく同じだ。しかし認識と言う点で大きく異なる。
芝居がかった人物は、目標を追い求めても身を引くだけの分別があり、悪戦苦闘が自分を殺してしまうであろうことに気づいている。
だが、滑稽な人物はそうではなく、強烈な欲求で何も見えなくなる。
過ちを認めない性格のせいで欲望に執着し、まわりが見えないまま、むやみに追い求める。
長年にわたる執着は、その人のすべての選択を支配まではしないにせよ、影響を及ぼしている。P216
4最大の葛藤は主人公の信念、感情、習慣、態度に起因する。つまり本人の破滅的性格とどう折り合いをつけるかが核となる。P219
真の悲劇では、だれもが傷つく。真の喜劇では、だれもほんとうの意味では傷つかない。
孤独と自己の喪失は別物だ。孤独というのは、何か分かち合いたいものがあるのに、分かち合う相手がいないことだ。自己を見失っていると、だれとともに暮らそうと、分かち合いたいものすら見つからない。
登場人物の真の性格は、大きな重圧を受け、人生を決定づける欲求を満たそうとして行動を選ぶときに初めて表出する。逆風がどんどん力を増すにつれ、行動の選び方が隠れた自己をあらわにし、極限まで重圧をかけられた中での最終選択が、根源にある単純極まりない自己をさらけ出す。
こうしたシリーズ物は家庭や職場の個人的な関係を描くが、そういう話では、何よりもまず語り合うことで親密さが生まれ、変化し、失われていく。
セリフが分かりづらいのは
あいまいなことば、主意を伝えるタイミングのずれ、リアクションを促すことばのずれ、この三つだ。P175
あとp183、良いシーンにならない4つの理由とか
訳者あとがきによると世界で最も注目されているシナリオ講師の2作目の著書。
面倒くさいのに、メモしておきたいのでズルズル引用してしまった。
あーオレ、芝居がかった人物になりたいというか、その世界を客観的に見る目を持つようにも思うし、ユーモアがあるようにも思う。
しかし、何をおいても追及したいものがある人生にあこがれがあるっつーか、そういう人を支える人にはなれるかなっぽく、言うには生き方が狭まっているか。
とか、苦悩の類型、自分がありきたりであるとなんか安心するというか、今は1番と4番のアタックかーとか思えたら、そういう自分の客観視で笑い飛ばせたらとか、まあ苦悩って渦中にいるとホンマ余裕がないというか、
今朝の夢は、農家さんに渡されたお金の絡む書類を提出し忘れたが、まだ締め切りまでに余裕があるから急げっつーいや、そんなことしたことないけど、なんかいやな空気の再現でしたとさ。追いかけて来るなー
前作は
- 作者: ロバート・マッキー
- 発売日: 2015
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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たくさん映画などの引用があったが、会話がしゃれてて気になったのは
- 出版社/メーカー: 東北新社
- 発売日: 2004/12/03
- メディア: DVD
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(追記)
物語を作るうえで参考になりそうな、シーンごとに欲求がプラスになったりマイナスになったりのゆさぶりをかけるとか、
コメディの登場人物たちが、苦悶し、叫び、壁を叩き、髪を掻きむしったとしても、その気迫が激しすぎるあまり、本当には傷ついていないことを読者や観客は理解し、安心して笑っていられる。
明かなコメディの様式でなければ、読者や観客は苦悩する登場人物に当然ながら同情してしまう。コメディの作り手は共感されたら終わりだ。
思いやりから笑いは生まれない。そのため、コメディの技法では、読者や観客を冷静かつ批判的で共感などしない状態―痛みとは無関係の場所―に置かなくてはならない。
その4つのテクニックとは、明解さ、誇張、タイミング、違和感、と、物書きを目指すなら読んでおいたら面白そうなんだが、あんまり読まれてないのは、他と差をつけるチャンス!っすよ。