本の声を聴け、傷だらけの店長
いい本屋とは何か?
私がワクワクする本を多くそろえている本屋です。
でも、それは私にとって良い本屋であって、想定した顧客層が面白いと思う本があるのがいい本屋、そんな視点はなかった。
先輩が「本の雑誌」に載っていた本を探しに行ったら、金高堂で1冊しか見つからず、ツタヤに3冊あったらしいというか、
私が本屋でアルバイトしていた時、吉本隆明の本が評論や社会の棚になかったら、角川ソフィアに共同幻想論があるとか、唯識の本なら、角川文庫だったかな、ひろやちさやが書いた本があった、と指摘したのは私であった。
昼休みにずっと本を読んでいる人もいたのだが、全ての分野をカバーするのは難しい。
結局、コンピューターではじき出した売れている本を並べたほうが良いのだろうか?
「本の声を聴け」では依頼されて本棚を作る(選書する)仕事があることを知った。
本棚からか醸し出される好奇心を呼び覚ます雰囲気が必要だった。
その点、幅のセレクションは、専門書の横にふだんは気がつかないような本が並べられていたりする。
あー俺、松丸本舗の良さがあまり分からなかったんだわ。
関連本がまとめておいてあるから、便利だとは思ったし、アマゾンの紹介より面白そうだったのは認めるけど。
意外性が喚起されるほど、本のことを知っていたわけじゃないからと思うのだが。
氏原が「気持ちがいい」と言ったBOOK246は、旅をテーマに、2004年に開業した書店。特徴は旅に関わる本をアジア、北米、南米、ヨーロッパと言ったように大陸別にセグメントしているというのだった。
と言われると、一回ぐらい行ってみても面白そうか、とは思うけど。
極端な話、本好きの人たちが好きな本だけが固まっていると、年間に本は数冊読むけど、それほど本は好きではないという人は振り向かない。
青山ブックセンターではあまりに売れなくて本を買ってもらえるなんて奇跡みたいなものだったとか。
ショップだったり、ライブラリーであったり、そこを運営している人たちが何を求めているか、またそこに来る人たちが何を薦められると嬉しいかを考えなくてはいけない。
仮に選書の段階で、僕らが読んでめちゃめちゃ面白かったという本があっても、その場所の磁場に合わなければリストに入れませんし、入れておかしくない場所であっても、お客様の年齢層と違っていれば入れません。
「傷だらけの店長」の解説で
本屋はスーパーやコンビニと違う。ととかく書店は思いがちです。(略)
もう一度この小売としての原点に立ち返ること。
厳しい人もおったもんやな、と思った。
傷だらけの店長をみると、本部の言われるままコンピューター仕入vs思い入れの棚みたくなかんじであった。
でも、「顧客層から見ても面白そうな」点を意識した思い入れのある棚を作って、他と区別される。
ニッチ戦略でそこを目指してもよいのではないかと、「本の声を聴け」を読んで思った。
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