返し包丁

返し包丁

返し包丁

文化人の書いたものは退屈で、3P読んだら手を止めてしまうことが多いが、この本はツルツル最後まで読んでしまった。

人に対する眼差しが優しく、でも聖人君子的欠落があるわけでもなく、突っ込みもあるし、全体に漂う向上心という奴がピリッと締める。

これが「いい人」の書いた文だと、ダメなことに対する優しさが読んでいて苛立たせるんだよね。


自家製カラスミのつくり方や丸茄子田楽のつくり方等、料理人らしい文章もある。

鯛の頭を半分に割ったり、骨を切ったりする出刃包丁はまな板が凹むので真ん中でなく端を使うといったノウハウもある。

ひと手間二手間かけると違うことが、読んでいてじんわりと伝わり、ジャンクな日々が改めて反省させられる。

ってゆうか、俺、偉そうに言うばかりで足元疎かにしているよな、基本が大事である。

(はっはっは、昨年の今頃は促成ナスの収穫で朝7時10分ごろに出勤していたのだが、最近は11月に雨よけミニトマトと露地キュウリが終わってから、出勤時間8時だよ。

朝の打ち合わせの前に、圃場の確認と目についたところにささっと手を入れることをしていない。)

「まかせるってのは、自分が別のところへ行ける、動けるってことなんだ」ということを教えられた。

一人でがんばるんじゃない。チームで一つの料理をつくりあげるということが店としてのチームワークなのである。

あたりは、自分がチームの何を補えられるのか、チームとしてのあるべき姿をきっちり考えてから(ってのは指示を出す班長がすべきことなんだろうけど)、足りないところを先読みして行動するのが理想的なんだろうけどなー場当たり的になっている。

先に先に提案して班長を支えることができたら押しも押されぬ中堅どころなんだろうけど、実際は班長を不安にさせて常にチェックされる身なのであった。

実績はそれなりにあげていると思うんだけどな。班長に指摘されたときに、やっていることの根拠をちゃんと説明できずに黙ってしまうあがり癖をなんとかしたい。