ロシア的人間
- 作者: 井筒俊彦
- 出版社/メーカー: 中央公論社
- 発売日: 1989/01
- メディア: 文庫
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イヴァンは自然を祝福することはできない。なぜなら彼にはまだ原罪の意識というものが目醒めていないからである。
真正面から神を賛美することのできない人には、自然をも真正面から賛美し祝福することができない。
けれども彼は自然のもつ堪らないほどの痛切な美しさを感じている。生の非合理的渇望を胸底に感じている。
だがそれにもかかわらず、両手を広げて大自然を抱擁し祝福するすべを彼は知らない。
ちょっと知的な雰囲気に浸ってみたかったのよ〜
大体この手の本は3Pで放り出すが、全部読んでしまったのは、題材の面白さがあった、と思う。
旦那にするならロシア人と言ったような言わなかったような大地に根ずく露西亜人が
ピョートル大帝が現れて、ロシアが西洋的なものをとりいれて、引き裂かれていった変遷を
19世紀流行った文学者から読み解く。あれ、ちょっと違うかな。
何にもできない無用人(知識人)ってきっついのう。
(旦那衆のなれの果て)
トルストイ的人間の究極の秘儀は、彼の作品には表れてこない。
あれほど衆に秀でた芸術的感覚と、ありとあらゆるものを易々と言葉に移していく描写の才を持ちながら、彼は自己の全てを残りなく芸術化することができなかった。
しかも自己の一番重大な部分を取り残した。
やっぱりトルストイとかドストイェフスキーとかの章が一番面白かったけど、全然理解できなかったのも確かではあったのだが、ま、何だか面白かったので、10年後ぐらいにまた読み返してみたいかな。
キリスト教が必要とされる土壌なんて理解できなかったし。
それまで行方不明にならないといいけど、というか、図書館にあると読み返しも簡単なんだけど。