子どもの無縁社会
- 作者: 石川結貴
- 出版社/メーカー: 中央公論新社
- 発売日: 2011/12/09
- メディア: 新書
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社会の最先端を素早くリポートする新書らしい新書であった。
なのになぜ読まれてないのさ?
住民票を残したまま1年以上所在不明になり、その後の就学が確認されない「居住不明児童生徒」は2011年で1183人(大震災の影響により岩手・宮城・福島県は未集計)
だいたい1学年100万人と勝手に私が計算して、小中9年900万の0.001%。
多いのか少ないのかと言われれば少ない気もするが、(その程度で済んでいるなんて日本は文明国だ)
この居住不明の子どもたちがどうなっているのは誰も知らない。
親の虐待や放置によって通えない、あるいは周囲に存在が確認されることなく悲惨な生活を強いられている「可能性」もある。
そういう悲惨な目に合っている子供、世間から全く認知されない子供が多くて1000人もいるかと思えばくらくらする。
カンヌ国際映画祭で評価された「誰も知らない」には実在のモチーフがあるのである。
よしんば、生き残ったとしても、学校に行っていなければ、学校で習う、読み書きそろばん、コミュニケーション一般に疎くなり、まともな就職なんて望むべくもなく。
子どもの入学、転校など就学に関わる手続きは保護者の申請によって行われる。
親がドキュンならば手の施しようがなく、また、転々と職を変える(住民票を移動しなかった)派遣の人の子どもは元には住んでいる地域の小学校就学予定者として登録がされない。
そして、ハイリスク家庭の児童虐待情報はいまどきFAXで、有効な追跡ができない。
住所不定にならなくても、親が離婚などをして新しい町へ行けば、地元住民とつながりのない家庭が一つ生まれる?
後ろのほうのレポートで書かれているが、サッカーをすると110番すると書かれてある看板のある公園、保育園小学校に対する苦情、とかく世間が子供を持つ家庭に対し厳しくなっている。
今はよくとも、将来我が子が無縁にならないか、と心配を持つ親は存在する。
あと、こうのとりのゆりかごに預けられた子どもは、養子縁組に対し親の承認が必要で、特別養子縁組が成立したのは51人中一人だけだそうだ。
本が世間を動かすことができる余地は少ないのかもしれないが、なるべく多くの人に問題を知ってもらいたい、読んでもらいたい本であった。