荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論

荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論 (集英社新書)

荒木飛呂彦の奇妙なホラー映画論 (集英社新書)

ジョジョって好きだし、作者の頭の中が知りたくて読んだ。

50を超えた人にしてはけっこう青年らしい、ナイーブさが見える温かみのある書きぶりであった。

あの容赦のない展開を書く人として想像するにちょっと意外であった。

ただし、「人間の肉体をありえないように変形させて描く」のが楽しいのは、「そう描くことが逆に生命を描くことにつながる」と書かれると、あのトンデモの裏にこういう愛情があれば、穏やかな人であるのも納得できる。

(この本に書かれていないところでエキセントリックなのかもしれないけど)

内容としては、一番最初にゾンビをもってくるところがゾンビがキングオブホラーであることを示す。

ゾンビの無個性を著者は指摘するのだが、言われてみると、殺されるのに抵抗感がない存在に堕すると、自分の汲々とした状況がバカらしくなって解放感あるな。

ロメロのゾンビから、どういう進化をしてきたのか。

あらすじ紹介は少ししかないが、人間の内輪もめぶりを愛でる映画っぽい感じがあふれてきて、私はちょっと凹む。

それからスティーブン・キングに一章が割かれているのが、キングの実は金字塔っぷりが表れている。

あまりキングの小説は読んだことはないのだが、実はキングには救いがある、、、だと。

シャイニングは有名だが、は〜そういう違いがあったのか。

「ペット・セメタリー」とか面白そう。原作当たるか。

この本を読んでいると、いろいろ映画を見てみたくなる。

黄金時代は終わったと言われるが、まだまだ面白そうな映画はたくさん作られているのだな。

値段も下がったし、気が向いたら映画館に行ってみたいし、この本で紹介された100本を、1週間に一本づつ見る生活も楽しそうだ。