彩雲国物語 紫闇の玉座

彩雲国物語 紫闇の玉座(下) (角川ビーンズ文庫)

彩雲国物語 紫闇の玉座(下) (角川ビーンズ文庫)

1巻の最後でオチは語られていたものの、本当に着地するのか?

Pをめくって、鮮やかに意表を突く展開にほっと息をつく。

落ち着くところに落ち着いた感じではありますが、王様が主人公の巻でした。

理想主義だけど、本の中にまで、辛く厳しい世界を思い出せられても興ざめだぜ。

ご都合主義だけど、ちゃんと物語の世界に没頭させて、そんなこと気にする奴はケツの穴が小さいぜい。

で、シリーズ中盤まで王様が甘ちゃんなところが乗り切れなかったのであるが、しっぺ返しが決定的になったころから興味津々、着地点はメルヘンの国だったのである。

腹下しって何?相手の顔を立てて、あえて飲んだって言い訳を書いてくれよ。

そこは笑うところで、息抜きの場面ですか、と不満もあるが、楽しかったので良しとする。

ハッピーエンドなのだが、世間的に立派な人生が本人にとって幸せなのか、という疑問が浮かばないでもない。

ま、そういう物語である。

秀麗ちゃんが死んだらどうしようと思っていたが、死ななかったら死ななかったでいろいろ文句がある嫌な読者なのであった。

秀麗ちゃんは優秀な官吏であった。

ちょっと残念だったのは、女性のあるべき管理職の姿が書けなかったことかな。

私は女性の上司を持ったことはないし、女性の同僚とは分野が違うし、あまり女性の仕事姿を実感していない。

ちょっと評判の悪いことも聞く。

秀麗ちゃんが嫌な女性になりかけて克服する姿を見てみたかった。

一生懸命の秀麗は、嫌な女性とは、あるべき女性とはという問題から、見事逃げ切った気がする。

秀麗ちゃんの優秀さは、女性ならではの視点がなかった気もする。

すいません、買ったのは最後の3巻だけで、そういう場面もあったのかもしれませんけど。

(お化粧の話は印象的だったけど)

まだ、女性ならではの仕事姿は世間的に流布していないので、秀麗に実現してもらいたかったけど、先頭を走る人は優秀すぎて参考にならなかった。

今度、著者にはコネのない一般ピープルの話を書いてもらいたいと思ったりした。

今は仕事をする女性もありきたりだし、そういうレールのあるOLの、ガラスの壁困難克服話のバリエーションの豊富さを読んでみたいな。