シアター!

「それでも芝居に打ち込んでるときだけは格別にカッコよかったのよ」(略)

「夢追い人であの人よりいい人はいなかったから、浮世離れ系の男はあれで打ち止め。

今度は地に足がついてる系で一番いい男を掴まえたからね」

有川浩の小説は読みやすい。

ただし、読み易すぎて、小説の世界に没頭する、その小説の世界がちょっと薄っぽく、気分転換にならない著作もある。

図書館戦争だと、べったべただけど、「これは新しい言い方」的新鮮さで、小説の没入度を高め、数十ページ引っ張り、飽きてて来たところに、また投入で小説の面白さを維持していたが、この小説はいい表現が1か所しかなかったので残念であった。

また、群像劇というには、一人一人がいい人過ぎて解放感を得るにはストレスが軽すぎた。

で、ちょっと面白かったのが、

プロパーに評価される商品が悪いというわけではない。

それは業界で確かに必要なものあろう。

しかし、それとは別に新しい客を連れてくる商品を冷遇するような業界は、決して社会のメインストリームにはなれない。

分かりやすいものを軽視する風潮には、商業的に成立するために不可欠な一般客への侮蔑がある。

1度2度どこかで読んだことはある気がするが、まだ手垢がついていない事象だ。

ま、事実でしょうな。

でも、私がラノベを読むのは、読者の読みたいものを適切に表示できる著者の力量を買っているわけで、売れているのはなんらかの理由を「分かりやすさ」でくくるのはちょっと抵抗感があったかな。

癒しを求めるぐらい疲れているときはあって、癒しは人それぞれ、イタリア料理とラーメン、両方の選択肢がある市場が魅力的ってことは忘れたくないですね。

物語の大きな柱となる劇団の立て直しは、1巻目らしくこの巻はサクサク進んだので、2巻以降の困難のバリエーションを楽しみにしようと思う。

絞った雑巾からさらに水を搾り取らねばならぬハードルの高さは示されたわけだし。

シアター! (メディアワークス文庫)

シアター! (メディアワークス文庫)