もうすぐ絶滅するという紙の書物について
なんだか対談がものっすごく楽しそうなのである。
話が合うっていいなあ。
1500年12月31日までに印刷された書物は「インキュナビュラ」といい、二人ともその稀覯本の収集家なのである。
内容はといえば、
信仰が芽生えると、書物を燃やすんです。
これは、炎による検閲というより、炎による清算です。
インドの場合は、また事情が違います。
たしかに聖典は存在しますが、口承で伝わっていることのほうが、今日でも、より信頼性が高いとみなされているんです。
なぜでしょうか。
古代の歌や詩はグループで詠唱されるものだったんです。
グループで詠唱する場合、誰かが間違えても、ほかのメンバーがいますから、間違いを指摘してやることができます。
本があると、暖かい、守られているような感じがするというんです。
本があれば、間違えたり、迷ったりしないだけでなく、凍えることもないんだそうです。
世界中のあらゆる概念、あらゆる感情、あらゆる知識、そしてあらゆる間違いに囲まれることで、安心と安全の感じが得られるんですね。
豆知識も面白いが、決してそれだけじゃない。
中学の時の国語教師は、「文学の主題は、人生・人間・美の3つである」と言っていたが、この対談にも文学の匂いがするのである。
国語教師の言い分が正しいとして(?)、なんか、本を知ることは「人間」を知ることである、みたいな。
電波本から馬鹿と阿呆について考察し、発禁処分から不可能を前提とした示威行為を読み取る。
人間の愚かしさって、自分の想像以上なのだな、、、
二人の本に対する愛が補っていて、それほど直視しなくて済むけれど。
本に対する愛があって、題名は吹かしでした。
思考を伝える技術の業は深いぞ〜
- 作者: ウンベルト・エーコ,ジャン=クロード・カリエール,工藤妙子
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