愛と青春の危ない学園
レズとゲイとバイの中学生どたばたコメディ、だったはずなのに、感動巨編と化している!
こんなの(学研のレモン文庫)を見て育った小学生はどんな大人になるんだッ
好きな人(男)が男の自分に惚れているはずだという確信があるのに素直にその気持ちを認めてくれない。自分の魅力は世間に負けた(からしょうがない)、というのは、感情移入できるすがすがしさ、立派さで、バイだとかゲイだとか、関係ないし!
そして、山場で、思い人に暴漢に助けてもらった所で、緊張が解け思わず、
「ぼくが、あなたを必要としているのは、危機におちいったときではないんです。
平凡な日常の中で、しょっちゅう、ぼくはあなたが必要だと感じているんです。
なのに、いつも、あなたがそばにいてくれたためしはありません」
政先輩は声をつまらせ、うつむく。
思わず言ってしまい、後悔しているようでもある。
長い間、苦労してかくしてきた本心なのだろうし。
柏木さんはどうすればいいのかわからないらしく、一応、無表情を保っている。
政先輩は意を決したように続ける。
「ぼくが危険にさらされたときにだけ出てきて助けてくれても、ぼくの心は満たされません。
むしろ、その後、あなたが去ってからが、つらすぎるんです」
地面にポタポタと涙が落ちた。
あの政先輩が泣いている…….
思わず、長文引用。
森奈津子、渾身のできですよ、奥さん。
告白も相手に対して押し付けがましくなく、あくまで溢れ出た気持ちが中心にすえられる。
秘めた思いを口走ってしまう場面を想像したことのないやつなんていないと思うし、このついに言ってしまった感に感情移入しまくりである。
結果は、ま、子供向けだし、と書いても、たぶん、この告白が、吉と出るか、凶と出るかは、私の文章を読んでいる人が確信をもって当てることはできないと思いますが。
これが小学生向けのハッピーエンドになるのか、です。
このシリーズは、年に一冊刊行されていたのですが、レーベルの廃止に伴い中絶。
主人公、レズのケイコさんの思いはどうなるはずだったのか。
著者には続きを別の形でいいから発表してもらいたいものです。
「先輩と私」はちょっと違うし。
ともあれ、森奈津子の本でこの本が一番好きな本になりました。
ってエロも捨てがたいけど〜
- 作者: 森奈津子,あすみきり
- 出版社/メーカー: 学習研究社
- 発売日: 1995/05/01
- メディア: 文庫
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