BLEAK/THROUGH
海燕さんの同人誌は、情熱のある文章がいい文章だ、という私の琴線に触れました。
と、ゆーことで、熱があって、私とは違う思考回路の人が書いた本で、この人の言うことをまとめるとどうなるのか、気になって2時間ほど読み直しをして、それでも、追いきれなくて、要するに読んでも飽きない文章で、1800円(振込み代含む)の価値はあったと思います。
本をネタにして自分の論理を構築する。
その海燕さんの論理は、私にはあんまり引っかからなかったけど、その本をこういう解釈をするのか、という点で面白かった。
いや、ほとんどの本は知らなかったけど、それでも楽しめたというか、海淵さんの主張が心地よい(←だから、自分の思考と遠くないので咀嚼に抵抗感がなかったので、点数が上がらなかった)
といいつつ、私は「神は沈黙する」が珍しく嫌いで、どうして嫌いかこういう視点からも批判できるのかと勉強になった点では、元ネタを知っいたほうが楽しめたんだと思います。
(って自分は「「神は沈黙する」と「宗教なんかこわくない!」の比較に続く」と書いたものの続きを書いていないのか)
で、この本の感想とゆーか、この本を読んで私が連想したことなのだが
かれは率先して「エヴァに乗った」のであり、その義務を放棄して一つの愛に耽溺することなど、考えられもしないことであった。
ちょっとネタバレになるのか死ぬと分かっていてエヴァに乗るのを説得するにはどうしたらいいのか。
エヴァに乗るのはそれ以外をすべて捨てることでもあるわけ?
最後に「この世界を守る価値がある」からエヴァに乗るのか?
第10章での希望の話は、実は希望なんて少年の夢と同じで、追求する動機は、私は理屈ではないと思います。
希望は現実に実現しない。
それでも追い続ける希望は根拠無しで妄想と変わらない。
それでも妄想を捨てられない根性なんて、どこから湧いて出るものだなんて、分からない。
美しいものではないと思う。
信じるものがあったとして、その道にあろえ(他の人)がいるのは、たまたまで、いるかいないかで挫けるものなのか。
挫けたら本物じゃない気がする。
でも、そこで、挫けても「試合は終っても、人生は続く」わけで、この話は円環している。
人生賛歌。いいですね。
(で、自分は「人間は信じたいものを信じる」その現実を無視した妄想が、人の世を支えていると思うので、山本弘がすかんのです)
エヴァに乗るかどうか、人の犠牲になれるかなんて、その日の気分なのが、一般人です。
じゃなくて、人のために犠牲になれるかどうかなんて、私たちがなぜか人を殺せないようになっているように、私は生来のプログラムだと思っていて、そこから、海燕さんの本を読んで新たな展開がありませんでした。
私が認められない「悪」がなかったのでそちらは収穫はなかったけど、と、なんか私の辞書に「悪」とか「弱さ」が加わったのは大収穫でした、と褒める!
しかし、最終章で「私が君を祝福しようと思う」と承認を与えるのは、SWANSONGで鍬形君を篭絡した方法ではなかろうかと思ってちょっと引いた。