活字と自活

活字と自活

活字と自活

本を読むフリーライターのエッセイ。

しかし、文章を書く仕事をしている人間が、本を読んでいるのは、当たり前の話である。(略)

本を読むのは無駄とはいわないし、いいたくないが「それ以外の何か」がないといけない。(略)

本の趣味にしても、本の目利きの人たちのあいだでは、すでに定評のある作品ばかり読んでいた。

趣味で読んでいる分には、なんの問題はない。

でもこの世界でメシを食っていこうとするなら、定評のあるものばかり追いかけていたのでは、単に趣味のいい人で終ってしまう。

趣味のいい人の席はほとんど空きがない。

本の世界だけでなく、いわゆる通のあいだで受けのいいものばかり追いかけてしまう傾向の強い人は、二十代後半でそういう壁にぶつかる。

尖がっていないと生き残れない世界で生き残っているが、自己中ではなく、普通の人のように悩む。

決して、楽ではない生活。

フリーで生き延びるためのノウハウっぽいことが書かれていて、ってゆーか、会社人にはなれない人のことに思いをはせました。

出版社がだんだん優等生が増えて冒険をしない、二番煎じが多くなってチャンスがなくなる話なんかライターの立場からの話は興味深かったです。

作者が読む本の傾向は、私にとっても読んだら面白そうと思える。

山田風太郎の「風眼抄」は再販されていなかったっけ?風太郎のエッセイは読んでみたい。

けど、吉行淳之介を追っかけてみようと思える書き方ではなかったかな。