イスラームの日常世界

イスラームの日常世界 (岩波新書)

イスラームの日常世界 (岩波新書)

日常生活のたいていのことは、「神の意思あらば」で、とりしきっているムスリムだが、どうしても人間同士でしばっておきたいと思う事柄の場合は、それを「マクトゥーブ(文書)にしておきましょう」、すなわち、人間と人間の契約にしましょうという。

ムスリムはいい加減と聞いていたが、裏技もちゃんと存在するのね。

礼拝も、まずからだをきれいに洗ってからでなければおこなってはいけない。

きたないままで祈っても、その祈りは無効とされる。

洗うのにも2種類あって、ウドゥーの洗いかたの図が9つ紹介されている。

結婚するときに男が女に結納金を提供することも、男たちに納得させた。

あわせて離婚のときも、男は女に支払うこととされた。

江守五夫氏なども指摘するように、結納金を女がもらうしきたりは、かつて女が男より上位にあり、そのギャップをうめるために出てきたものであろう。

この結納に関しても、イスラーム法にうけつがれ、制度化された。

断食月の断食は、ムスリムにとっての義務である。

その期間にできなかったときは、うめあわせることによってその義務をまっとうするが、これ以外に任意の断食、オプショナルな断食もすすめられている。

どれも同じようにみえる黒装束だが、帰りぎわにまちがえられることはない。

みんな、自分の香りをベールやアバーヤにたきこんでいるから、すぐわかる。

以上のことはイロハのイのようだが、自分はぜんぜん知らなかったので、勉強になった。

スンニ派シーア派もやっていることは同じとあったが、本当か知らん?

この本が書かれた20年前からさらに30年前に、著者はカイロに留学していたようだ。

そのときのエピソードを通して、見たこともなかったムスリムに対して、血肉が通う感じで面白かった。

この人がエッセイ書いたら読むな〜