『格差社会という不幸』

宮台 宗教的良心のアメリカ。連帯のヨーロッパ。血縁の中国やユダヤビクトリア朝伝統のイギリス。コーポラティズムのドイツ。

日本の場合は特定の場所に一緒に住むという事実性に結びついた共同体制でした。(中略)

ところが国土は荒廃。同じ地域に長く一緒に住むという事実が消えました。

山田 (中略)男女が十分な安定した収入もないまま結婚し、子供が生まれたりした場合、いったん生活につまずくと誰も助けてくれない日本は、世界で最も住みにくい社会ですよ。

貧困を避けるためのセーフティネット作成として人の連帯が気になっているものの、私は「普通に日本で育って自己責任論者」コースを歩んだ。

正義を語らない結社の論理があるならばもっと詳しく知りたい。友愛(http://d.hatena.ne.jp/finalvent/20090916/1253060287)(finalventの日記)が気になっている。

http://d.hatena.ne.jp/akizu/20090930/1254316283の続き。

昨日のBSジャパンの番組、デキビジでひろゆきが日本は水と安全はただ。ジンバブエの人を考えると比較するまでもなく不幸ではない(大意)と言っていたが、私は日本の貧困を他人事にすることはできない。

仕送りをしている実家にはフリーターが二人いる。来年正社員になる話がないわけではないが、10年後に存在すると断言できる会社ではなく、技術もつぶしがきかない。

将来的には私が家族を養う可能性も十分あり、私の病気が再発すればどうなるんだよ〜

標記の本には学校にうまく適応できなくコースを歩めない子が、ミュージシャンや映画人などのクリエイティブな仕事を目指しフリーターになるが、数年後サラリーマンを目指そうにも正社員の口がない話が載っている。

自分はたまたま運が良かっただけで若者は搾取されている、自分に何かできることはないかと思う。

しかし、自分は相手の身になって考えることはできない。

人には人の幸せがあるはずだと思い、人にかかわる論理を持たない。

すでに、情けは人のためならずという行動を起こす回路(宗教なんて怖くないBY橋本治)は失われている。

宮台さんがおっしゃったように、アメリカには宗教的な感覚があって、困った人の面倒はちゃんと見なければいけないという意識が強いけれど、日本は「放っておいても構わない」と答える人の割合が先進国中最高なんです。

大きなお世話にならない節制を持った連帯の論理があれば学んでみたい。

行きすぎないために正義を振りかざさない論理であればなおさらだ。

格差社会という不幸 神保哲生 宮台真司 春秋社 2009