パラケルススの娘1

『いつかあなたの心が凍りつきそうになったときに、わたしは助けを送ります』
(省略)
『私自身でなくとも、わたしが信じる別の誰かを。きっとあなたはお喜びにならないと思うけれど。でも、わたしが地上で唯一のお友達と思う方に、幸福であってほしいと願うことはだれにも止められませんから』

うぉ〜、この静謐な感じはゾクゾクくる。物語は、抜き出しの台詞が語られてから何十年もあと、彼女の孫が送られているとゆ〜状況です。孫はそんな約束を全く知らない。

私は「信念」という言葉を本以外で聞いたことはない。でも、ちょっと考えるわけです。

ドラゴンクエスト ダイの大冒険のバランのように、(←年がばれる)、最初は人に好意的でも、いやな経験を通して、人に対して冷たくなる。

いやな経験の一度や二度で考えを変えるなよ、であります。それまでの生き方はそんなに軽いものだったの?

信じることができなくなると、困難にぶつかりつつも一本筋を通した生き方は不可能。

とはいうものの、実態と乖離した考えをいつまでも持ち続けることができるのならば、それは狂気の類でしょう。

信じ続けることで生じる迷惑と、変心することで生じる迷惑がある。どんなことに対しては信じ続けたほうが、周りのためになるのか(←?)、もしくは、自分自身が生き易いのか。

あるいはどの程度の困難で考えを改めたほうが、人生の最期で満足できるのか。

ま、人生ほどほどだとは思いますが、信念を持つ踏ん張りどころが分かるといいなという期待を込めて、このシリーズを読み続けようと思います。

パラケルススの娘1 五代ゆう MF文庫 2005