紫色のクオリア

人間がロボットに見える、という子の友達が主人公です。

うん、そこからのスタートでこうも話が膨らむとは。

平行世界で生きることができる。

あらゆる可能性を自分の身に受け入れることができるってどんなことか想像しかけて止める。

考える前提が破天荒すぎて全く思考が進まない。

敢えて言うならもっと荒んでもよさそうな気がするがそれは本論ではなし。

思考の限界を超えた話が展開され、先の展開が読めない。

しかしお見事。無事に着地。文句の言えない完結をしている。

最後の締めが重い。秋津2×才。その可能性を受け入れられるようになるまでまだ悟っていません。

嫌われてもいい。パターナリズムの克服ってムズイよね。

強いて言うならその執念が落としどころを探している状態に思えて、ゆかりちゃんと直接対決をして説得される形を見たかったかな。

パターナリズム、あるいは自己中、は、本気で潰す気になったら、ゆかりちゃんも抵抗できない強い理屈じゃないのか。

無理だと思われる説得を見てみたかったが、そうすると違う話になるか。

結論は優等生的だけど、私では思いつくことのできないものです。

噂にたがわず、読んだ時間は確実に回収できます。

紫色のクオリア うえお久光 電撃文庫 2009