傀儡師 カナリアファイル
前作・金蚕蠱の出来が良かったのでちょっとどきどきしながらページをめくる(http://d.hatena.ne.jp/akizu/20090913/1252847002)
おいら、この作者のまなざしが好きだぴょン。
愛だ勇気だと真面目に言うには疲れてしまって、でも、そんなことを言う大切さも知っている。というか、主人公は熱血漢に流されただけなんだけど、流されるだけの情を持ち合わせている。
主人公の過去はなんだか不良っぽく影があって、時間がその傷を癒したのか。昔の友達、占い師はその行動の結果が分かっていたのか、ふと頭をよぎるところはまだ過去にしきれていないのか。
その過去との決別がこのシリーズの佳境と重なるのなら盛り上がるな、なんて勝手な期待をしてしまう。
ありふれているようだけど、作者の作品との距離のとり方が上手い。作品に入り込みすぎていない所がちょっと冷たく雰囲気を出してそれっぽい。
それから、小説の技法で言うと省略のされ方も好き。「ひどいことを言ったの」って結局明らかにされないけど、余韻がでている。
ミスリーディングには見事引っかかったが、普通そんなめんどくさいことしないやん。
作中めんどくさいことをした理由は明らかにされなかったが、このあとでてくるのかな。