チャペックの犬と猫のお話

私が求める本は、私のものの見方と違う見方をこれもありだなと思わせてくれる本だ。

私が関係ないと思っていた事実と事実とつなぎ合わせ、その関係を示す。

再現性があるかどうかは分からなくていい、とっぴなことを有りうるかもしれないと思わせたら、作者の勝ち。それはありえないと思ったら作者の負け。

読書は作者と読み手の真剣勝負の場だと思う。

もちろん、私の人生経験が足りないため作者の意図を読み込めないなんてことは大いにありうる。

それは私が恥ずかしいことで、作者の罪はないことで、面白くないと書いたりしている。(青山南の本をつまらないと書くのは勇気がいる。私が悪いんだ。青山さんごめん)

それでちょっと気になるのは、世間に訴えたいことのある人の主張を受け入れる人はどのくらいだったりするのだろうなのだが―関係ないけど静かなる細き声だろ、あんまり気にするなよ―ここでは放置。

で、この本である。犬で相好を崩す話である。当然主張というものはない。

血統主というのは子どもを産んでナンボで、その辺のはしたないが生命力にあふれる行動を言い換える技巧が光る。

だが、表現を楽しむには少しその量が物足りなく、作者の世界を造るまでとはいかないな、と表現についてはあまり興味ないため点数が辛くなるのだった。

チャペックの犬と猫のお話 カレル・チャペック 河出文庫 1998