獣の奏者Ⅰ

私は漫画版が一番好きかな。漫画版すごいのです。

闘蛇は決して人に熟れない。−馴らしてはいけない生き物なのよ

最初の一話でテーマが語られるのだが。これが決して流れるわけでなく、しっかりと記憶に残る。

主題の重さがジワっと凄みがにじみ出て、これからの困難をそれと知らず想像させる。どきどきわくわくする。

それにお母さんの孤高さ、精錬さが良く描けていて、エリンがハブにされる、なる流れがすっと入り込む。必然性を持った子なんだなと思わされる。

とにかく、漫画家が世界観を完全に取り込み消化している。

原作はさらさら読めて(上手すぎて)、話の筋は面白かったのだが。テーマについて考えさせる広がりに欠けていた。

漫画版はテーマの重みをどんっと正面から描く気迫と技術があって,これからが楽しみです。

獣の奏者 武本糸会 講談社 2009