重罰化は悪いことなのか

無期懲役の確定数は、二〇〇七年で八九件。二〇〇七年末現在で、無期懲役の受刑者は一六七〇人にのぼっています。

このうち四〇年以上服役している受刑者が二四人、三〇〜三九年は六二人になっています。

二〇〇七年に仮釈放された受刑者は三人で、服役期間の平均は三一年一〇ヶ月。そして、過去一〇年間の獄中での死亡者は一二〇人です。

こういう実際のデータが出ているのは高ポイントです。無期懲役は10年ぐらいが相場だというのは、10年前の話だそうです。

この本の話ではないですが、無期懲役は望み薄でも仮釈放という制度があるから刑務官が武装しなくてもやっていける、終身刑よりいいかも?制度といわれると、よい仕組みかなとおもってしまうぐらいよく知りません。知識が増えるのはいいことだ。

アメリカで少年加害者に対してとられている修復的司法は、おもに修復可能な犯罪、つまり窃盗や重度でない傷害、そして器物破損に対してです。

あいだに専門家が入って、加害者と彼らを受け入れるコミュニティとの関係を調整するのですが、この手法は一定の効果をあげています。

とはいえ、殺人や強姦に対して、同じ手法を用いるのは困難でしょう。

いま流行の修復的司法に早くも欠点か?とか、

(1)重罰化よりも抑止力効果の高いものがあるんじゃないか。
(2)重罰化よりも安心提供機能が高いものがあるんじゃないか。
(3)重罰化よりも感情回復機能が高いものがあるんじゃないか。
(4)重罰化よりも法的意思貫徹機能が高いものがあるんじゃないか。

複雑な処罰の機能が4本に絞られると快感ですな。この中から優先順位をつけてとゆ〜話しだす。

藤井 たしかに、犯罪は増えていません。治安も、先進国の中ではかなりいいほうです。

でも、だからといって「治安意識はそんなに持たなくてもいいですよ」とか「そんな防犯運動はしなくて大丈夫ですよ」といったところで、たとえば、幼い子どもを抱えている親たちにそれが伝わるでしょうか。(省略)

「もしかしたら自分の身近なところでも凶悪犯算が起きるかもしれない」と不安に思ったり、「何とか自分の身を守らねば」と思ったりしている人に、そんな意識をもつ必要がないといったところで、意味があるとは思えません。(省略)

治安が悪化したと感じている人が約八割ほどいるわけです。よって、現時点ではそのことを前提にして制度設計をしたり、法律をつくったりしなければならない、と僕は考えています。

藤井さん、それって安全と安心を一緒くたにしているのでは。芹沢一也とかみ合わないのは当然として、後ろの宮台の対談で不安がどーのという話が出ているんだったら、この話を宮台に向かってしてもよかったのに。対談がどう転がったか。

まじめな話をすると犯罪被害者の望みはいろいろあって、誰もが不満のない制度にするのは無理っぽい。それでも試行錯誤を繰り返さないとだめってあたりまえのこと。

重罰化は悪いことなのか 藤井誠二 双風舎 2008