東亰異聞
東京のパラレルワールド東亰で起こる怪事件。時代は明治で、土俗的な空気と文明開化の明晰さがせめぎあう。
怪事件に種も仕掛けもあるのか。ある、と、可能性が示される。しかし、論理では説明のつかない狂言回し。どろおどろしさはちっとも減らない。
それでも謎解きは始まる…
解説にもありますが、京極夏彦と比較したくなる。しかし読み終えてみると別の楽しさがある。
小野の作品、ゴーストハントでは、高校生の主人公がいつも泊り込みのバイトにいけるのは、孤児だからという秘密が明かされます。→そんなこと考えたこともなかったぜい
読者をだましにかかって、見事だまされる、この快感。
頭に書いていた絵とまったく違う絵が現れます。
誕生日が同じ事に関する図式も平成人には思いつかないけれど、作品的にはよく似合って一本とられた。
ねっとりとした空気も買いです。
「魔性の子」も十二国記を読む前に読んどければこんな快感が得られたのかと思うとちと残念。
「黒祠の島」も読んでみるときっと面白いに違いない。読まねばならぬと思わされた小説でした。