円環少女10運命の螺旋

7/17少し書き直し

メイゼルが追放された理由が明らかになるのが今巻のハイライトです。

いいもんのメイゼルに悪いことはさせられないし、しかし全くの濡れ衣で、いい子ちゃんであっても欲しくない読者の期待を裏切りませんでした。

メイゼルの誇りに恥じないって、このときから誇り高くならざるを得なかったと思えば無残であります。

雷神との争いも尺がちょうどよくて高ポイントです。短さから仁が傷だらけになっても前哨戦であることが分かり、力不足感が出、今後の先行きに不安を示しました。

それから、もと普通の女子高生のきずながとうとう人殺しになりました。一度は一人も二人も変わらないという境地に達して,世界征服に邁進してもらいたいものです。

手を汚さずにいられるのは子どもだけでしょう。その辺、世の中が思いどうりにならない無力感は登場人物ほとんどが背負っています。

しかし全部チャラにできる能力がもしあったらどうなるのか?

世界を思いどうりにできる力、平和にできる力があるのならば能力は全開にするべきでしょう。

ノブレスオブリージュではあるものの、しかし、普通は持ちすぎた力に身を崩ぼすだろうと思う。

ラインハルト陛下は偉いが、きずなちゃんは魔法はともかく性格はスーパーマンをしていないし、ハッピーエンドを期待するのは無理だな。

世界征服、世界平和に流れたい気持ちを抑える要素があるのか。

再演大系のうちで世界征服(?)をたくらんだのが今までに一人ならば、なにかそうしない理由付けがあるはずです。

抑止に生まれながらの性格とこれまでの経験以外にどんなファクターを著者が考えているのか。

斜め45度の答えを期待します。

円環少女10運命の螺旋 長谷敏司 角川スニーカー文庫 2009