犬憑きさん 上下

どこかに漫画の原作があると思ったくらい淡白で、登場人物に必然性がない、無理に登場させたように感じました。

でもいい雰囲気で、第一話の学校特有の行き場のない気詰まり感は、自分はそんなに感じたことないけど、自分にそんな体験あるような気にさせる筆致でした。

クラスの中のヒエラレルキーがある話を聞き耳にはさむのですが*1、階級があることに説得力を持っている、そんな感じです。

それから、上巻はホラーで幕を閉めていました。下巻はプロットを消費したでしたが、上巻は体の芯が冷えました。

あらすじだけ書くとどれだけ怖いか説明できないので、筆者は雰囲気を書く力があるぜ!

一方で、構造的には後半怖いことのパターンに気づかせてくれました。

こういうことを知るってことは人生豊かになるってことです。

読んでおいて損はありません。

犬憑きさん 上下 唐辺葉介 スクウェア・エニックス
2009

*1:そんなこと書かれて喜ぶ対象読者は中二病者か