華の皇宮物語

帯に「キスだけじゃ終わらない 新・乙女系ノベル ティアラ文庫創刊」
とありました。

フランス書院だし、エロ描写はグッチャグチャのドロドロを期待していたのですが、肩透かし。上品に抑えています。

つ〜か「されど竜は罪人と踊る」のほうがエロい。

あくまで人に見せても恥ずかしくないセックスであります。

女性にとってのエロとはこんなものなのか。

橋本治が「売春している子が性的に目覚めていたらあんなにあっけらかんとしていられないでしょ」(意訳)みたいなことを言っていたのを思い出した。

なんちゅ〜の、自分の中に直視できないドロドロしたものがあるみたいな描写がない。

後宮なので舞台装置のエロはありますが、女性にとってのエロの必然性ははっきりしない。それが女性の特徴なのかな。←突然話を広げる

さっぱりした女性を主人公に置いたから、ドロドロを書くことができなかったとは思われます。

そして、確かにそういった部分を書くと普通の大人向け小説と区別つかなくなります。あくまで抜けないライトノベルです。

とゆ〜か、初めての人と結ばれたいみたいな古風な雰囲気まで勝手に読み取ってしまうぜ。

少女コミック、もっとエロいと思うんだけど、読者層はかぶらないな、みたいな、あくまでラノベの面白さで勝負という心意気は買います。

折原みと少女小説はキスまでしか書けないと言っていましたが、書いても良い時代になったのか。

それはどういう層が現れたといえるのか、やっぱり需要はないのか。

私としてはラノベとしての作品の質がやっぱり重要といいたく、この作品はちょっと物足りなかったかな。

ドロドロを書かないのなら、主人公は凛とした人だし、相手にこれは認められないという人格的要因の要求を持っていることを見せたほうが萌えるし*1、それが原因の別れる一線を意識したつきあい方をしてくれてもいいじゃないか。

また、この人しかいないって知り合って1ヶ月で言われても引きます。

華の皇宮物語 剛しいら ティアラ文庫 2009

*1:いや、そんな場面ありますが、誤解じゃなくて、認めたくないものを相手が持っている展開、それをどう受容していくのかに今興味があります