夢見るレンタル・ドール 恋の章
同性愛者のメルヘン、理想郷を書いた作品。
ノーマルな子に告白して振られたり、でもそのノーマルな子はその後も普通に付き合ってくれる。
あとがきで著者は自分自身のセクシュアルな嗜好を公表して以来、ほとんど初対面なのに
プライベートに関する質問や性的な質問をぶつけてくる人がいるという。
最も大切な日常上の一部を何故よく知らない相手に打ち明けねばならないのか、と書いている。
そういう経験をした著者が、目障りなことを省いて書いているので、童話のような仕上がり。
まるで聖典というか、人を好きになることの荘厳さもあり、これで抜くには抵抗がある。
しかし、そのオチは中途半端に現実と妥協したようでちょっと残念。
シングルマザーが大変というのは口実だろっ。
雪彦の男らしさの証明には他の方法があったはずだし、作者や読者に今更結婚に対する幻想なんてないだろう。
そこでそのオチを持ってくる必然性がよく分からない
そういう成功例を夢見るほどに現実は残酷なのか。