生物と無生物のあいだ

分子生物学の一部を分かりやすく説明したエッセイ。

ワトソンとクリックが女の人の研究結果をぶんどったとか、この本には書かれていないが命に危険があることを承知で放射能を浴び続け研究した日本人の白血病の科学者がいることを知っているくらいには大学でこの分野をかじりました。

この本は野口英世の話でつかみはOK、既知のことも科学者の人となりから説明されると新鮮でした。

後半はどうやって細胞内で生成された物質が細胞外へ排出されるのか、小胞体の仕組みなどが勉強になりました。

題名から辛気臭い哲学系の話が絡むことを想像していましたが、生物の物理的、化学的な「ふるまい」を説明して、命の神秘性はそこから間接的に思いをはせてもらう仕組みで気楽に読めた。

生物と無生物のあいだ 福岡伸一 講談社現代新書 2007