西の善き魔女2〜4

「神は沈黙せず」(山本弘)の主人公は占いが非科学的で嫌いでそうである。フリージャーナリストなのだが、占いに関する依頼を受けない。

食い詰めても依頼された占い師の記事は、占い師は詐欺師だったから断ったエピソードがある。

食いはぐれるのに仕事を選ぶ余裕があるのかおいう問題は置いておく。

現実には占い嫌いの自分のポリシーを守るのに、詐欺の片棒を担ぐという、社会人として守るべき最後のポリシーが重なることはない。

(私のおじさんによると利益を得るためにはグレーな領域を追及していくこと、らしい。)

生きるってことは、自分のポリシーを曲げ、自分のしなけらばいけないことをするか、だと思う。

だから、いかにポリシーを守ることに頭をひねるかという話にゾクゾクする。

しかし、この「西の善き魔女」の登場人物はやりたいこと優先で、ポリシーを犯す選択肢を考えることをしない。

また、自分のポリシーとポリシーが対立し、どちらを選ばなければいけない状況におちることもない。

すると、頭を使わない登場人物がたまたま上手くいっただけという印象を強く受ける。

作者は作中人物に主人公がやけになっていると指摘をさせる配慮があるし、また、それなりに世間体を優先するキャラを出し、物語に厚みらしきものはある。

しかし、最後は自分の気持ち重視の行動で、収まるところに収まる展開についていけなかった。

息抜きにリアルを求めてもしょうがないと思うし、続きが気になるので(作者の勝利)、第2部が出たら半年以内に必ず読みます。

西の善き魔女 2〜4 荻原規子 中央公論新社