耽美なわしら2

愛原ちさとこと千里の書く少女小説を愛しながら、本人が能天気な男であることを許容せず、危険な妄想を膨らませていく綾子。

いっぽう千里は、ある誤解から志木の恋人であると宣言してしまう。

「世界一美しい人」に迫る危機と、さらに巨大化する自らの超兄貴体形に焦る俊彦は、あろうことか当の千里に火傷を負わせてしまう。

失意のどん底に叩き落された俊彦は千里との別れを決意するのだが……。伝説の恋愛コメディ第2巻。(裏表紙より)

登場人物はゲイやレズビアンバイセクシュアルにノンセクシュアルとマイノリティであるにもかかわらず、ごく普通のオーソドックスな話である。

人の性格は長所と短所からなる。

凄いのは登場人物の性癖が、長所とも短所とも設定されていないことである。

性癖は狂言回しのようであるが、別にヘテロであっても話は成立する(ような気がする)。

性癖が必要不可欠のようで入れ替え可能であるような微妙な感じが、ホモであることもあたりまえにある人の性癖の一部であると感じさせる。

ホモ・バイであることが、たまたま生まれついただけで、心配性であるとか短気であるとか他の性格とおなじように、何故そうなったのか理由を追求せず、ただ提出される。

登場人物はあっけらかんと普通で、普通の人間がそうであるように、はたから見ればくだらないことで悩み、笑う。

登場人物が普通で面白くないぐらいである。

裏表紙の紹介からはドタバタした感じを受けるが、読んでみると、とんがったところがない。

とらさんが「青春グラフティ」と表現したのもうなずける(http://ameblo.jp/kotora/entry-10235273878.html)。

耽美なわしら2 森奈津子 ハヤカワ文庫 2009