冴子の東京物語
夢枕獏が解説に書いているが、豊かな感情と、それを外から眺める冷静さの按配がうまい。
独白への突込みがいらず、人生の一幕に安心して笑うことができる。
この本は中学1年生のときに集英社夏の百冊を5000円分買い込んだ中の一冊である。
読んだのは10年以上前だが、はっきりと覚えているエピソードが多かった。
「北斗の拳」にはまっているが、ヨーカン屋も一子相伝であることを知り、ヨーカン屋が秘技を求めて争うところを想像したり(できなかったり)、
農家の次男、三男のエリート的就職先だった国鉄へSLマンとして勤めた父との思い出とか、(←父の詫び状を思い出した。流れ、オチともに違うが)
好きな職業についたら、キャベツだけで食いつなぐ生活をしたりとか(三食まともに取れない生活が当時衝撃的たった。私には無理です。)
「アイデアのちから」(感想はhttp://d.hatena.ne.jp/akizu/20090314)で言われる記憶に焼きつくエピソードが多かった。
意外性・物語性がある、忘れないアイデアの研究対象としてこの本を推薦するね(誰に?)。
ともかく、これは著者の書いた「なんて素敵にジャパネスク」もチェックしなければいけないし、ノスタルジーはどうもと敬遠していた「海がきこえる」も読まねばならぬ。