空色勾玉

やつらが下劣だからだろう。わたしは種をまいただけだ。刈りとる彼らが悪いのだ。

☆4.0コ

女の子の夢とリアルさを出すためのバランスのとり具合が、彩雲国を思い出す。勝気な女の子の話が滑稽にならないように書かれている。

で、途中さくさく読み進んだら、児童作品にはあるまじきエグイ場面が。もっとトラウマになるようにホラー風味にも出来たと思うんだが、そこは加減されている。人生明るいことばっかりじゃないし、話の筋を忘れても子供がずっと覚えている場面というのはある。

その後主人公的にそのできごとは克服できたかもしれないけど、最後のオチでそのセリフが出るなら、そのエグイ場面の結果を思い出したら良かったのに。

いつもそばにあるわけではないがふとした瞬間に思い出す。大円団じゃなくなくなるけど、今のところ私は、人生はそんな風にちぐはぐなほうが面白い。

空色勾玉 荻原規子 福武書店 1988