「売れる仕組み」のつくり方

少数の巨大ニーズが市場全体が覆う「大衆市場」から市場の細分化が起こったのはいつごろか。

候補情報を持ってくることのできた勉強家の本である。

元NHKのアナウンサー、山川勝夫は以下のように述べています。

「1982年の「紅白」かなあ。視聴率が69.9%という数字になった。70%を切ってしまったんです。(中略)

そこに重要なポイントがあったんですよ。つまり、多様化の時代が1980年頃から始まっていて、「紅白」をどう変えるかということがNHK内部で問題になっていてきていたころだってんですね(『考えるヒット3』近田春夫、文春文庫、2002年)

また、『商品開発の実際』(高谷和夫、日経文庫、1998年)には次のような指摘があります(以下、筆者要約)。

「前年比で毎年4%以上の伸びを示していた消費者物価上昇率が83年には1.9%に下落した。卸売物価上昇率も83年に初めて前年比でマイナスになった。

すなわち83年を境に日本の消費財の供給構造が「もの不足の時代」から「もの余りの時代」に大きく転換したということになる」

「分衆」(分割された大衆)という概念が博報堂生活総合研究所によって提唱されたのが1985年です。

冒頭、「マーケティング」とは何かと問いかけをしたとき、一度だけ「セリングを不要とするもの」と正解を言った人がいる。

という話があるんですが、元ネタはドラッカーと開陳しているんだが、それは単に著者がドラッカー信者で同じドラッカーの話を知っていた人を認めたというだけではないかという疑いが生ずる。

ちなみにセリングとは押し込み販売(hard-sell)の意で、ドラッカーの真意は「売り込む前に売れる仕組みを作ることを優先せよ」にあるそうです。

それは納得できるにせよ、私ももっといろんな理論の勉強を中小企業診断士の資格勉強でしたけどX理論Y理論の紹介といい、中小企業診断士が軽く理論を実際に当てはめて紹介した感じである。

ランダム・サンプリングの有効性を知らない人向けではあるのだが、「お客様第一主義のどこが悪いか」と目次に書かれて、即座に突っこみを発動できなくて先が気になるその程度の私はほうと最後まで読み切ってしまったのであった。