小説、読まないよね
先日の日記は、せっかく宮台先生の呪縛から逃れたのに、吉本隆明にはまらなくてもいいじゃんと、後から思ったりもした。
ある事象があった場合に、自分に当てはまるかどうか自省するのは自然なことで、当てはまらないことは気にしてはいないから、と言い訳をして
- 作者: 畑正憲
- 出版社/メーカー: 文藝春秋
- 発売日: 1984/01/25
- メディア: 文庫
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finalventさんのcakesの連載を見て買った。
人は、何か中毒性のある薬を服み続けると、ある時期から平気で嘘をつくようになるのである。特に、薬の効力がきれた時にそうなる。
ペラっとページをめくった時に出てきたのが、ムツゴロウさんの父の関するこの文章で
先の見通しがたたぬ大学院の研究生活に見切りをつけて作家を志したムツゴロウだが、生活費は相変わらずパチンコや麻雀で稼ぎ出すツナ渡りの貧乏所帯。
初めての子を宿した妻を故郷に帰し日折りで放浪の旅に出る。
あげくの果ての山谷暮らしから再起の日まで激しく燃えた青春を語る。
と巻末の紹介分をあわせれば、どんな中身ができるか。
文学です。
俺のための物語かと思ったが、私ってば、虚空遍歴にハマりきらない健全さが売りである。
最初はオールタイムベスト級かと思ったが、☆4つぐらいかな、ムツゴロウさんが無秩序すぎて少し距離を置いた。
で、ここで話が飛ぶのだが、先日の私の日記のような、と自分でいうのもなんだが、ベントさんが似た雰囲気の文章を書いて(?)、私はそういう文章を読むのを楽しみにしている。
放浪記はそんな感じも受けるが、無秩序すぎで少々私の思考とは離れすぎて、参考にはならないけど、ある生き方としては覚えておこう。
参考にする?
ぼんやり私の置かれている状況を考える。鬱屈しい、普段は忘れているけど、言葉にならないぼんやりした悩みはある。
人の思考が分かる話を読んで、そんな悩みに形が与えられて、あの人はこうしたのか、それならば私の状況も間違っていないのだな/私はこうしようか的になる読書がしたい気はする。
数ある本の中で、ドンぴしゃの本を見つけるのは難しいし、あまり小説は読まないのだが。
で、ベントさんの紹介本のムツゴロウはこんな感じか。cakesに書かれた文章から演算すると、あれとあれも似たような系統になるか。購入しようっと、となったのだが、cakesの文章はもったいない。
ぼんやりした悩みがあってと、確かに私はその悩みを持っているんだが、紹介本には私の悩みが書かれているにもかかわらず、そのcakesの書かれぶりだとその悩みとは似ているけど違う何かについて書かれているようで、書評を一見しただけでは読んでみようとは思わなかったのである。
引っかかりそうなキーワードはあるが、でもまだ悩みを自覚されていないから引っかかるかどうかでするっと流されて、詳細でこんなこととあんなことを書いて、私の悩みと別パターンの答えが書かれているので、興味なしとレッテルが張られるのである。
火曜日に刑された椎名誠の書評は、確かにキーワード的にサラリーマンに引っかかりは覚えるんだけど、正面切ってはそうじゃないよな、と思う。私に神託は下りない。
でも、ムツゴロウさんの本を読んだ後だと、私はたまたま下りなかったけど、下りた人の書いたものを読んだら下りなかった人でも参考になるよ〜みたいな。
もっと窓口広げる書評の書き方はなかったものか。
自分に当てはまるか考えるまでもない手前で、関係ないことだなと思う書き方なんだよね。
もっと自分の本性なんてないと思えるパンピーとの共通点を強調した抽象度を上げた本の主題を書いてくれていたら分かりやすかった、矛盾を感じない人の感性を上げるみたいなことは考えられたとは思ったけど、と、オチはなし。
火曜の書評はこれまでと比べ分かりやすくなっていたと思うけど、もっと使われ方を強調してってことで。