「独裁」入門
- 作者: 香山リカ
- 出版社/メーカー: 集英社
- 発売日: 2012/10/17
- メディア: 新書
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どうしもないと思ったものはちゃんと読まないとだめ、の原則を忘れるところだったと、反省の意味を込めて高評価にする。
山本一郎氏のブログとか風野先生のツイートを見て、リカちゃん、どうしようもない人だなと思った私が悪かった。
リカちゃんにはリカちゃんの言い分はちゃんとあって、それは小市民的なものだけど、決してないがしろにされるべきものではない。誉めもしないけど。
まず、リカちゃんは診てもいない橋本氏に病名を下したのか?本人は下したつもりはない。
繰り返すことになるが、私が橋下氏について指摘したかったのは、橋下氏がどんなイシューに対してもまず「対立の構図」を作るということ、そこで「さあ、どっち」とばかりに二者択一を有権者に迫るというやり方を取るということ、そのふたつの姿勢だ。
たしかにそれに続く箇所に、「(そういったリーダーが)魅力的に見える。そういうふるまい方というのは、私たち精神科医からすると、ある種の危機や不安を抱いている病理のひとつの証拠だと思えてしまいます」と述べているが、これは主に「黒か白か」と迫るリーダーを「魅力的だ」ととらえてしまう有権者のそのふるまい方が「危機や不安を抱いている病理のひとつの証拠だ」と言っているのであり、橋下氏を病気だと断定しているわけではない。
それ、リカちゃんの言っている意味に取り辛いから。私も「2割で良い」という文章を書いて、「良くて2割」のつもりで「2割で有に充分足りている」の意に取られてしまい、困ったが、リカちゃんはプロだから、自分の思っている意と違う受け止めをされたら恥じるべきところだから。
ただ、言葉を尽くせばわかってもらえるところを、決められた尺の中で大意が歪んでしまうというのは、この本の中で強調されるところではあるし、それは納得できるところだから、ま、見逃す。
で、山本一郎氏の「いま、香山リカ女史の無能さがヤバい」というブログの記事「香山リカ女史の論調や内容というのは、もはや発狂というレベルに近い。具体案や対案もなければ理屈も何ら通っておらず、単なる気持ちや感情を社会全体の空気に置き換えて牽強付会の論述に仕立て上げているだけなので、橋下府政がいいのか悪いのかという以前に原論として有害クラスの状態」という批判に対しては、
元記事のダイヤモンドオンライの記事の引用
番組の中でも橋下氏は『不連続のチャレンジ』『グレート・リセット』という言葉を再三使われていました。
『今でなくていつやるのか』『待ったなしの改革』と、しきりに変化の緊急性を訴えられています。
変化は当然リスクを伴うことです。(引用文を秋津が勝手に略)
とはいえ、既存のシステムを壊した後に、どのような社会ができ上がるのか、市民として気になるのは当然のことではないでしょうか(秋津が勝手に略)
私は、『改革はすべてダメ』と言いたいわけではなく、『改革の先の社会の基本的な軸を示してほしい』と言っているのです。
それは、公務員が何人減るとか、塾に行くクーポンが何枚配られるとか、そういうことではありません。
『とにかく競争力ありき、実力者だけが生き残れる社会』なのか、みんなで痛みを分け合ってでも誰もが安心して暮らせる社会』なのか、そういったことです。
これはリカちゃんに分があるなと思う。これぐらいのことは橋下氏も応えてくれていいと思う。
あくまでリカちゃん視点でスクリーニングされているけど。
代案を持たないリカちゃんは討論番組に出るべきではなかったかというと、この質問を言うため「だけ」にその場にいても良かったのではないか。
橋下氏は、一度も見ていないのに病名を下した(と判断してもしょうがないと思うよ)リカちゃんをサイババか!と揶揄し、
しかし一度も話したことのない学者をバカ呼ばわりし、
それはともかく、自分はバカと言っても許されるけど、榊正文淀川区長がアホという言葉を使ったら、そういう言葉遣いは許されないといい、
「といかいう」と呼び捨てにする学者と、「先生」とつけると言われてる学者の違いは、本人は「実際に行動したかどうかの違いだがというが、反対者と賛成者じゃないと指摘されるのは脇が甘いというか、
いや、別に私はネズミを取る猫は黒でも白でも性格が難しくてもいいし、と、政策の比較を知りたい派だし、ちょっろと反論する小市民を魅了するカリスマは持とうとしない日本レベルの愛嬌のある人物でよろしいのではないのでしょうか。
私のリカちゃんへの評価は別に発狂レベルではなくて、リカちゃんの「指導者」と「政治に参加する民衆」を精神分析にかける病跡学は眉唾で読む価値がないけど、リカちゃん自体はたまに立ち読みしても面白いかもぐらいにとどめておきます。
[追記]
→http://d.hatena.ne.jp/akizu/20121116/p2
リカちゃんの独裁者な本であるが、文脈読まずにある一文だけ取り出して、意味が違うくなるのに、ついつい非難してしまった例を上げている。
私もその立場なら非難しただろうなと分かるので辛いが、事情を知らない当事者ではない外野がどう意見を述べる態度がいいのか。
そういうツイッターが流れたら、ついそれだけが事実と思うんだろうけど、あまり手軽に発言でき過ぎるのも問題なのか、と新しい問題の存在に気がついた本でありました。
誤解を解くにも時間とそれを受容する気持ちがないとだめで、もともと無関心か好意的でない人にそんな手間はかけれず、少し手間をかければ氷解する誤解がそのまま流通する怖い社会になったのだな。
解決方法はないんだろうけどさ。
尺に限りにあって、言葉のたつ人が有利なテレビとか、140字限定のツイッターとか背景を考える仕組みができていないインフラが基本となる現代社会ってこわーみたいな感想をば。リカちゃんはそこまで言っていないかもだけど。