わかりあえないことから
わかりあえないことから──コミュニケーション能力とは何か (講談社現代新書)
- 作者: 平田オリザ
- 出版社/メーカー: 講談社
- 発売日: 2012/10/18
- メディア: 新書
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ブログのネタになりそうなところに付箋をつけていったら、15か所になった。
一体どうまとめたらいいのか困るくらい面白い視点があった。
まず、私は教養主義wなので、演技の不自然さが何に由来するのか分かってご満悦である。
そうして、他のジャングルと同様に、日本人は忠実に西洋近代演劇を模倣した。(略)
ただ、その上、感情を強弱アクセントによって表現するという欧米の言語、特に英語、ドイツ語、ロシア語などに特徴的な発音まで真似してしまった。(略)
・日本語は、強弱アクセントを(ほとんど)使わない。
・日本語は、協調したい言葉を、語頭に持ってきて繰り返すことができる。(略)
つまり、発音の強弱をつけすぎるのがわざとらしいと言われる原因だと著者は見た。
あと、わりかし、みんなすでに知っていることだとは思うんだが、私がこの現象にあったのは大学院に進んでだあとだったので、こういうことは私のツボ、的に
「医者や看護師というのは、昔は病気やけがを治してあげれば、患者からも家族からも感謝されたいい商売でした(略)
でもいまは、医療が高度化しすぎて『治す』ということ自体が、医者自身にもよく分からなくなってしまった。患者さんや家族の気持ちも複雑だ。
一分一秒でも長く生きたいのか、痛みを緩和したいのか、家に帰りたいのか、一瞬でも職場に戻りたいのか、家族と一緒になりたいのか、一人になりたいのか。
さらに、そういった気持ちも、一人に一つではない。
それらをできる限りそれをくみ取れないと医療行為に当たれないという時代になっている。
ならば阪大では、できる限りそれをくみ取れるような医者や看護師を育てたい。(略)」
社会的弱者は、何らかの理由で、理路整然と気持ちを伝えることができないケースが多い。
いや、理路整然と気持ちを伝えられる立場にあるなら、その人は、たいていの場合、もはや社会的弱者ではない。
人の気持ちって割り切れないし、自分でもよく分からないし、それを基本として、割り切っている人のほうが危うい感じがする的な鼻を効かせて、自分の気持ちがよく分からない人の気持ちに寄り添えるようになりたい。
言葉にすると上から目線の気がするが、私の仕事は自分の意見を押し付けたらいけないし、人それぞれを見ないといけないので、もっとよく人を見ようと新たに誓ったのであった。
あと、人が人らしく見えるのは、無駄な動きがあるからで、それは練習すると普通なくなる。なくならないのが天才だとか、対話の大切さ、とか、本に飽きかけた頃に、興味深いネタが投入されるので、一気に読んでしまった。