逃げない生き方

頭と結論が違って、非常に残念な出来だった。

頭は、例え、命にかかわる危険が待ち受けていると分かっていたとしても、人間には自分の使命や責任を全うしなければならないときがある。

一方で震災直後に東京から一家で逃げ出した評論家がいる。

危機的な事態に直面した時に、私たちはどう振る舞えばいいのかという問題である。

尻尾は津波に襲われた時には、逃げるという選択が何よりも有効である。と書き、

このように逃げなければいけない場合もあるが、ほとんどの人たちは、それまで自分が長年生活してきた場所から離れることを望まない。と、あれ?

逃げる代償には「共通体験」を失い、また、周囲の信頼を失うということである。

で、〆は諦念の勧めだ。

第1章では生きる覚悟の難しさを説いているのである。

原発は、震災直後は非常に危なっかしかった。

それで逃げるという判断はおかしくなかったと思う。

銀河英雄伝説で「思想なんて生きるための方便だ」と言ったキャラがいたが、

たとえ、周囲からの信頼を失っても、死ぬか生きるかになれば、どうのこうのいってられないじゃん。

津波テンテコと、周囲との関係を断ち切れない、周囲を信頼しぬく態度は対立する。

どっちを選択するのか、極論だから結論は出ないことだけど、突っ込んで考えていってもらいたかった。

というか、周囲のことを考えていくと、使命や責任を命より優先させるナショナリズム(?)とかコミュニュタリズム(?)の領域に近づくし、そっちと津波テンテコの対比(リベラリズムニヒリズム?よくわからない)とかの対比を逃げない生き方、逃げる生き方という切り方で見てみたかったかな。

自分の人生は自分だけのものかといわれると周囲との関係も優先させないといけない気もするが、ただ漫然と本を読む自分にはこれだ!と考えさせる本には出会っていない。

永遠の0」とか積んでます♪

この本は震災ユートピアについて触れられていて、というか構成がちょっと難しく、一言で言い表せない本だったのだが、ま、私の関心と著者の関心がずれて重ならなかっただけかという気もします。