嫉妬の世界史
- 作者: 山内昌之
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2004/11/17
- メディア: 新書
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題名から想像できることでもあるが、内容が失脚したの殺されたのでとかく暗い。
おまけに前半は徳川慶喜と勝海舟、森鴎外に近藤勇と聞き覚えがある人が多く、飽きる。
しかし、第6章で石原莞爾が出てからはあまり知らない人になってがぜん面白くなった。
石原のことは知っていて、神国日本なのりな人かと思ったが、真面目に戦略家としてすごい人だったと著者は書いている。
日露戦争を否定し、戦略が新しいフェーズに入ったことを見抜く眼力、「世界最終戦論」が戦略論の名著と聞いては、ちょっと読んでみたい♪(中公文庫にあったよな)
で、石原の天才だが飽きっぽい性格が面白い。
そこで、石原と対立する秀才東条英機のダメっぷり。
で、石原は東条に負ける。
何か小説を読んでいるようだ。
二人の上司、永田鉄山の良くできた性格は、鉄山は知っていたが軍人だったのか的にも興味深かった。
ゴードンとベアングの関係も面白そうだったが、人物に心当たりがなく、いまいちぴんと来なかった。
人物を魅力的に見せるには、字数が少なく物足りなかった。
この本は天才が嫉妬されて、殺され、失脚するが、嫉妬されない人とは?
ボケ元、グズ元とあだ名されたが出世コースを歩んだ杉本元がいる。
でも、この人は保身術はすごく、石原を中央から追放し復活させなかった立役者で、つまりは事なかれ主義の日本人だった。
嫉妬されない実力のある人として、保科正之がいる。
その心得は将軍の弟でありながら、君臣の分を忘れないこと、けじめと、嘘を言わないことが大切だ。
さらに、人の妬みを受けたくないからといって、他人に中傷され非難されたときに、いたずらに沈黙を守り意味不明な笑いを浮かべる人は軽侮される。
弁明の中で毅然として自分の正当性を主張する勇気と自信が必要とされる。
・・・なんか自分には無理な気がしてきたのであった。