突っ込みを入れられない不安
ヴァンパイア十字界は面白かったけど、価値観を揺さぶらない。
原作者が、読み手にいかに引っかかりを持たさずに、トリッキーな展開をするか、脳味噌を絞った感じで、引っかかりのなさを楽しむ。
赤ばらの人は完璧超人だが、それは今の価値観から見て欠点がないだけで、千年前で浮いた言動をしていなかったのか。
千年前で浮いていなくて現在でも浮いていないのなら、ただそのときの良いことに合わせているだけではないのか。
作中では芯の強い人風味だが、だったら、欠点のないやつの苦悩って知りたいとも思う。書かれてないけど。
・・・と、ゆー視点は入らない。エンタメだから。
私は、どちらをとるかの究極の選択をみるのが楽しい人だから、ある一定のレベルの話には、作者が私の興味あることを料理してくれたら、きっと新しい発見があるはずだという、困った期待をしてしまうのね。
日暮写真館は読まずに返す。
価値観を揺さぶらない話はなかなか読めない。
それでも読み始めたら吸引力があると大したものだと思うのだが。
酒見賢一の本も読まずに1年がたつのか。