ユリイカ6月号

私が思っていた橋本治とは違う橋本治が浮かび上がってこなくて残念であった。

単に私の関心のある橋本治の掘り下げがなかっただけかもしれないが。

「ハイスクール八犬伝」まで話にしているのはすごいし、小説一覧は参考になるが、ほとんど評論について書かれていない。

「89’」について書かれていない。

山形浩生土井たか子を褒めていたことで橋本が古びていると思ったそうだが、土井たか子が問題じゃなくて「関係ない」があふれている現在(20年前だけど)の関係の持ち方について問題提起して、それを日本国民は20年間ほったらかしにしている。

その思想の系譜はだれに連なるとか、橋本の問題提起はだれに受け継がれているのとか(ないか)(泣)、歴史を踏まえた議論がなかったのよね。

橋本治は二番煎じの本を書かないが、ぼくらのシリーズを書いたりして、義務は果たしたと思うが、誰もがその思いを受け継いでいないのか、やはり。

なんかみんな思い出話が多くて、それはそれで面白いけど、歴史の中の位置づけが、あんまり割かれていなかったり、橋本治のすごい点があんまりぴんとくる批評がなかったりして、あんまり面白くなかったかな。