勝間さんはもっと読書の幅を広げたほうが良いのでは

BSジャパンのビジデジはちょうど「格差社会という不幸」を読みながら見ていたのだが、勝間さんはこの本を読んでいたらもう少し議論の幅が広がったのではないか。

○国民幸福度

ジンバブエの人と比べるとマシ(大意)BYひろゆき

とゆ〜かそれだと、キャノン会長の「日本に工場を置いているだけでもありがたい思え」と言われて反論できない。

格差社会という不幸」には、「ルカーチ的には仕方がない」「この秩序をただ耐え忍ぶと、現状にとどめ置かれるだけだ。社会を破壊せずに生きのびるより、良い方法があるんだぞ」とあり、こっち方面に議論を進めて欲しかったような。

それに、比較の対象をちょっとマイルドにすると、正社員はフリーターと比べて幸せになり、分断統治の片棒。

○若者の起業促進

若者の起業がしにくいのはどう思うかという論点は、これに関しては、女性の管理職もいるにはいる。管理職になった女性が道があると断言して、男性の側に立つのを思い出した。

ひろゆきに起業の意思は強くなかったかもしれないが、程度の視点が全くない。

話を広げると若者が起業できない、人生の選択肢の幅がないということであり、公平さの問題。

○匿名性

匿名性に見えるけど、訴えられたら、遡上に乗る。訴えることができれば。

生活保護の受給者もホームレスもフリーターも、社会的にレッテル張りされている存在は、社会の偏見が強いからなかなか声が上げられない。声が上がらないと実体が見えないので、より偏見が強化されて、ますます言いにくくなる。悪循環です。

統合失調症患者は100人に一人だから、県庁に勤めている人の数より多い。しかし、県庁に勤めている人は同級生、近所の人知り合いに必ずいるけど、糖質患者は見当たらない。

ちなみに、統合失調症になっても4割ぐらいは回復するが、普通人と変わらない統合失調患者は見当たらないはずだ。隠してわからない程度だと、わざわざ病名を言わずに、なんと言われていても黙っているから。

偏見を持たれる人の立場は想像されていない。

別に匿名でも実名でもいいんだけど、こんな偏見をシステム的にましにする方法はこの21世紀、ないものか。

○勝間さんも結構素朴かも

勝間さんは素朴に今を変えるために声を上げることと推進している。寄付もしている。

だけど、昨日(http://d.hatena.ne.jp/akizu/20100503/p3)引用したけど、

宮台 宗教的良心のアメリカ。連帯のヨーロッパ。血縁の中国やユダヤビクトリア朝伝統のイギリス。コーポラティズムのドイツ。

日本の場合は特定の場所に一緒に住むという事実性に結びついた共同体制でした。

勝間さんには連帯の理屈付けは利害関係で歴史的な位置付けはない。アメリカっぽいけどアメリカには宗教的良心の背景がある(らしいこと)が見えていない。

勝間さんには雨宮 処凛との対談ではワーキングプアの知り合いがいないと言っていたし、日本でもアッパークラスになると、コネがあるらしいし、連帯の理屈付けは利益だ。

それもいいけど、利益以外のものを持ってくれば、もっとうまく人を動かすこともできるかもしれないし、動く人が増えるかもしれないし。

「友を敵から守るために頑張るぞ」という図式なくして、集合体成員全体を拘束する決定に向けた動機付けを調達するのは、事実上困難だとする認識です。

これに擬えば、我々にはもはや国家大の営みを覆うような大きな感情のゲームがありえなくなってしまったゆえに、公を騙って小さな私を肥やす類の営みしかなくなったのかもしれない。(中略)

亜細亜主義者たちのように感情のゲームの同心円的拡張で全体を覆うような構想もあり得ます。

もう私は鼻血が出そうに興奮するけど、人を動かすための理屈付けは学問上から学ぶことも可能かもと思うわけです。

2ちゃんねる宣言」でひろゆき宮台真司に対して突っ込むことができなくなったわけだし。

(いや、そこで、オルグされなかったひろゆきは、理屈だけで動いているだけでないことが分かって、人の言うことを鵜呑みにする私なんぞは尊敬することを決めたわけですが。)

内田のたっつんにも連帯の方法を考えた書きものはありますが、

人間の社会的能力は「自分が強者として特権を享受するため」に利己的に開発し利用するものではなく、「異邦人、寡婦、孤児をわが幕屋のうちに招き入れるために」、その成果をひとびとと分かち合うために天から賦与されたものだ。
そう考えることのできる人間たちによって、もう一度破壊された「中間的共同体」を再構築すること。

勝間さんが自分のしていることの立ち位置を知ってもらったら、意見の違う人を説得する引き出しが増えるし、搾取される若者としては勉強してくれればいいのにと思うのでした。

・・・人のことを書くのは、書いていて疲れる。