米国さらりーまん事情

日本と韓国にしか戸籍はないという噂を聞き、本当かどうか疑っていたのであるが、昭和59年のアメリカにはないらしい。

住民登録もなし、彼または彼女を証明するには出生証明書のみ、だそうである。

そんで、代わりになるのが社会保障登録番号(Social Security Account Number)で、年金など社会保障はもちろん、連邦税、州税、健康保険、失業保険など、また大企業では社員番号もこれで代用することが多いそうだ。

しかし、大学の成績表や賞罰の記録など、生活行動には一切この番号は使われず、したがって、政府から行動を管理される恐れはないそうだ。

日本の場合は住基ネットにいかなる情報を統合しようとも罰則はないと宮台真司が行っていたのが思い出される。

また、就職申し込み書では雇用機会均等法により、姓名、住所、連絡先の電話番号、職歴を書くのみで、扶養家族数、写真の添付、心身障害の有無、生年月日、学歴などは書いてはいけないらしい。

私の記憶によると、住所も住んでいる場所から、階級がわかるので駄目だった気もするので、それと比べると緩いかとも思うが、それにしても心身障害の有無を問われないで済むのはよいな。

既往症とかつらいのである、自分は。病名が明らかになったらノーチャンスだから。別に障害は残っていないが、薬を飲み続けないといけないので病院と縁が切れないからなかったことができない。

それはともかく、この本の著者は東京の大空襲で家を焼かれたそうだ。

山本七平が「私の中の日本軍」で日本製品の質が悪かったと書いているが、いまひとつ信頼が置けなかった。

その後、「日本人の英語」(岩波新書)で、日本製品が粗悪品の代名詞だったことが書かれていて裏はとれたかなと思ったのだが、この本でも日本製品が信頼されていなかった話が書かれている。

そこから、日本人の勤勉さが書かれ、自動車も認められ、貿易摩擦になるかならないかぐらいの時期に書かれた本である。

その時期、アメリカの駄目さが書かれていて、それまで、勤務期間に応じて首は免れる傾向にあったのに、それがまかり通らなくなってきて、アメリカ人の会社に対する忠誠心が薄れたのが原因の一つのように書かれている。

それから、労働組合が強くて、融通がきかなかったんだと。

ふ〜ん。その時期アメリカが駄目だと日本で言われたことは知っているが、原因のほうは知らなかった。

いろいろと裏を取って見たいし、それをアメリカがどうやって克服したか知りたいな。

中流階級の崩壊で乗り越える萌芽がこの本で見られる気がするのだが(まだルポ貧困大国アメリカ読んでないのよね)

米国さらりーまん事情 松浦秀明 中公文庫 昭和59年