丘の上のミッキー5

それに、あなたほど完璧なひとならきっと、あたくし以上に、その完璧さに苦しめられているんじゃないかとも思ったわ(中略)

なんとか優位に、せめて対等になってみせようとして・・・違うのよね。かっこつけていられないはずなのに。

傷つく勇気もなくいせに・・・なのに、なのに、こんなにあなたがほしいなんて・・・!

今回のハイライトは、主人公があこがれるお姉さまの衝撃の告白。ヒーローに対する愛の告白なのだが、高校三年生にしては幼いのか大人びているのか。

ここまで告ッたら男は引くだろ。ヒーローは当然主人公のことが好きだが、主人公の後釜狙いは考えられなかったのであろうか。

人生は続くよ。逆転も狙える。自分の思いを昇華させることを優先するのはちょっとガキっぽくておじさんは引くが青春らしくてうらやましいかな。

でも、ま、主人公はそんな駆け引きを考えていない直球派で深謀遠慮はヒーローの好みから外れるところがつらいか。

どうにもならないこともあって、それを受け入れるためには踏ん切りも必要なのだろう。

丘の上のミッキー5 久美沙織 集英社 昭和61年