バビロンの塔
物語なんて空想の世界を感じさせるのではなく、著者は現実にあったことのような隙のない崇高な雰囲気を持った世界を作り上げている。
頭上の太陽よりも高い、てっぺんにたどり着くまで何週間もかかる塔を作り上げた人類の話である。
発想はとっぴなんだけど、禁忌を犯しているのではないかという畏れが真剣なリアリティをもたらしている。
神は上へ上へと高くなる塔の存在を許していないのであろうか。塔をこれ以上高くするために現れた障害とその克服方法とは?
果たして上手くできるのか。
私は神様がいると考えたほうが生きるのが楽になるから信じる。
まさに山本七平に「日本人は神様を薬だと思っている」と言われるとそうかもと思ってしまう不信心な人なので、この話の凄みを本当には分かっていないだろう。
奇跡を欧米人がどう捉えてその反応と今回がどのように違うのか分からない。
こうでもしなければ神の存在が信じられないのか。そこで神がいたことに安心するメンタリティーは、傍から見ると不思議。
ただそうなっているだけのことかもしれないが、そこに神を見るのも不思議だった。