世界屠畜紀行

世界各地の屠殺現場のレポート。

世界各地には差別される所あり、みな当たり前にできるところあり、尊敬される所あり、だんだん屠殺が日常でなくなってきたところあり、である。

一冊の本の連載も楽しみにしている作者の語り口は安定しています。

屠殺する人って被差別なひとだったんですか。知らなかった。

別に私は差別しないけど。で、終わってもいいんだけど、屠殺には技術もいる、尊敬できるできることが分かった。

差別するには単純に無知である場合もあるし、そんな人にこの本は有効だろう。

ただ、うちの母は「部落で交通事故を起こしたらあかん。部落の中では気をつけて運転しなさい。」と言っていて、兄貴はそれを馬鹿にしている。

しかし、母のいうことには根拠があって、祖父が部落の人と事故ったら、病室に団体でいらしたそうである。

根拠?嫌な行動をする人の属性を無理やり一般化したものだという気はする。一度の経験で2度と起こってもらいたくないこともあるけど、そんな行動をしないその属性の人はいやだろうなと思う。

実家の近所には無職で通りでタバコをいつも吸っている人がいる。それはいいんだけど、近所のほかの人が談笑している所に行って「今、俺のこと笑っただろう」と言ったそうである。

それを聞いた兄貴は「知的障害者」とはき捨てた。それは知的障害者じゃなくて精神の人だと思うけど、彼にとってたいした違いはあるまい。

なんか無職の兄貴(当時、今はフリーター)が安心して差別できる対象を見つけたようで何だかな、であった。自分のすることに疑いを持たない怖さをまざまざと見せ付けられた。

いつもタバコ吸っている人にも言い分はあると思う。もうちょっと同情してやれよ、みたいな。

差別の怖い所は自分に正当性があると思って、正しいことだと思っているから反省というか点検しなおすきっかけもないことだな。と、結論とんだ。

外国の事例を並べられると外国の差別が日本人の目から見ると奇妙である。差別される根拠はあるんだけど根拠薄弱に感じる。

なにかしら日本の差別も外国の人から見たら理由はあるけどいいがかりに思えるであろうことが分かる本である。

私にも当然だと思っていて差別しているとは思わないで差別をしているんだろうな。

…なんて大上段に構えなくてもいい、身近だけど隠蔽されている食に関していろいろ豆知識が得られる本である。

世界屠畜紀行 内澤旬子 解放出版社 2007