日本人と組織

でた〜盆地文化。文化は環境によってつくられる。和辻の風土とかめっちゃ怪しいと思ってるんだけど。

でも、七平クオリティーで面白いのよね。

そもそも七平は西洋的論理的な文とは無縁の人で、一冊本を通して読んでも、各章の積み重ねがどう結論に関係してくるのかはっきり分からない。

…関係しているような気がする、ぐらいで、一章飛ばしてもぜんぜん結論が変わらない。本人にはつながりが見えるんだろうけど。

で、各章をつまみ食いするのであるがそれが面白いのよ。

トサフォトとは本(トーラーなど)の欄外に解釈に注釈や意見・見解などを書きこむことである。

本編はそのままに、この欄外の注をたまに編集して(トーラーの場合8回)、新しい意見を取り込む。

欄外の5%が役に立ったとして残りの95%の失敗のデータも、今は役に立っていないというだけで注記を続けていれば将来どのような成果を生み出すのか不明なだけである。

「過去のさまざまな問題を索引」する「トサフィスト的生き方には索引が不可欠」。日本の組織がだめなのは成功経験しか残さず索引できないからだ(って表現が分かりづらいのは七平がはっきり書いてないせいだ。)

まー、30年前の本で今は失敗学などもある。しかし、過去の時点の視点がないと「罪と罰と精神鑑定」が読みづらかった身には(http://d.hatena.ne.jp/akizu/20091020/1256047089)そうか、トサフィスト
的、絶対残すものと改良するもの、潰れた改良の意見も大事に自分のものにせなあかんのは現代でも通じそうだ。

また、新人教育には、わが社語を一日も早く教え込みその言語以外では思考も表現も出来ないようにするのがよい。軍隊ではそれを3ヶ月で実行し、外出しても一般社会の言葉とルールに従えなくなってしまうとか、契約を結ぶのは両者が対等じゃないとだめだが、神との契約はそれとは違うとか、七平の書くことだからあまり間に受けてもいけないのだが、いろいろと刺激を受けた。

日本人と組織 山本七平 角川Oneテーマ 2007