罪と罰と精神鑑定

でた〜心の闇。精神科医はアブナイ人という偏見トリガーが引かれてしまった。

著者は犯罪区分を時代によって3つに分ける。そして「空虚な自己」といったような不安感が新しい犯罪類型の基盤となっていると確信しているそうだ。

有名事件を取り上げ、分類するのであるが、マスコミの言ったことの上に構築としているとしか思えない手垢にあぶれ度、俗耳に入りやすさがすっげー読んでて怖い。

代表的なやつを取り上げたからいいのかといえば、取り上げなかった多くの事件にはまた別の共通点がありそうで、その辺注釈がほしいところ。

著者は大学での若者観察でサンプル数は十分だと思っているのかもしれないが。

いや、この本は精神鑑定は感情移入(共感)によって書かれるんだって、とか、鑑定の中身を(研究者が)まとめてみられるような機関もないということに驚くべきなんだろう。

それから、やっぱり、病気がなければ犯罪を起こさなかっただろう人の話も出てきたりして、刑法37条が肯定される事件は実際にある。

それはどの程度の頻度で起こっているのか、それによって37条の存在意義も変わってくると思う。叙情酌量を例外とするのか基本とするのか。

そういう研究は人権上の問題もあるしされないんだろうな。

世論的にはされたほうがはっきりしてよいと思うんだにょ。今はイメージだけで話している印象で気持ち悪い。

罪と罰と精神鑑定 景山任佐 集英社 2009